Baan Unrak

Baan Unrak

タイの孤児院「バーン・ウンラック」に併設される織物センター

タイ・カンチャナブリ群サンクラブリにある孤児院BaanUnrak(バーン・ウンラック)。バンコクからバスを乗り継いで8時間、ミャンマーとの国境に近い山の中にあるこの施設には約140人の子供たちと約40人の大人が暮らしています。彼らは、ミャンマーからの難民や子供をひとりで育てる母親、国境沿いのジャングルの中で暮らしていた貧困層の家族など援助を必要とする人々です。子供たちはこの施設が運営する学校に通い、動ける大人たちは親がいない子供の面倒を見るケア・マザーや食堂の調理師、館内の清掃員や整備士として働きます。また主に北米・欧州からのボランティアがいて、学校の教員や看護師として随時数名が活動をしています。

事務所や保健室、織物センターが入っている建物
事務所や保健室、織物センターが入っている建物

収益を得るための様々な取り組み

学校を卒業した子供たちや母親たちの自立を支援するためにバーン・ウンラックはベジタリアンレストランやベーカリーなどを運営していて、織物センターもそのうちのひとつです。現在、機織り職人は3人(うち1人は草木染めも担当)、縫い職人は5人(うち1人は兼パタンナー)。「お金を貯めてマーケティングを勉強したい」「バンコクでパタンナーとして働くのが夢」「3人の子供を立派に育てたい」などそれぞれの目標に向かって毎日頑張っています。

No.1縫子のチョーマリーンとマネージャーのナムタム
No.1縫子のチョーマリーンとマネージャーのナムタム

織物センター、レストラン、ベーカリーはバーン・ウンラックの運営にとっても大切な役割を担っています。というのは、バーン・ウンラックは寄付金や物資提供(不要になった衣類や本など)で成り立っていますが、約200人が生活して食べていくためには到底厳しい状況ですので、お店の収益の一部は施設運営にも使われます。働いている人たちは「スキルを学べたりお給料がもらえるのは嬉しいけど、もっと嬉しいのは施設の子供たちに食べ物や必要なものを買えること」と、自分のことより施設の為に働けるのが嬉しいと口を揃えて言うのがとても印象的でした。

洋服、ストール、ブランケット

織り機で生地を織り、ミシンで洋服や小物を作っています。染色は時期によって施設内にある植物で天然染めをしたり、うまく色が出ない時はバンコクの染色工場で染めます。縫製の作業部屋は子供たちが出入り自由で、お母さんに甘えに来たりちょっかいを出しに来たり、休憩中は縫子さん同士が楽しくおしゃべりをしていて自立を支援している施設とは思えないくらい微笑ましい空気感がありました。今後は安定的に草木染めができるようにすること、綿の栽培も施設内でできるようになることが目標です。

機織りエリア。バーン・ウンラックの生地はすべてここで手織りされる。
機織りエリア。バーン・ウンラックの生地はすべてここで手織りされる。